術後3日目
マスターズ(高齢者代表)リハビリシリーズも3日め。
朝、Y先生の回診で、テープ交換があった。腫れも少なく良好。
屈曲は100度、伸展は7度。
メニューは
●病棟でのCPM 伸展7度屈曲90度 30分
●膝の曲げ伸ばし 5分×3回
●quadsetting 50回
●quadsetting 電気刺激あり 10分
●足あげ 5回×6セット
●ハーフスクワット 20回×2セット
●その場足踏みと歩行3周 ×4セット 松葉杖が両方取れた
午後は
●病棟でのCPM 伸展0度屈曲95度 30分
●膝の曲げ伸ばし 5分×3回
●quadsetting 50回
●quadsetting 電気刺激あり 10分
●足あげ 10回×3セット
●マッサージ
●ハーフスクワット 20回×2セット
●その場足踏みと歩行3周 ×4セット
屈曲は朝95度だったが午後には100度を超えた。
午前中のリハビリで松葉杖なしで歩いていいというお許しがでる。
でも、不安な時は片松葉、使ってね、と・・・
やはり、リハビリのキモは入院中だという。そこで大体の方向性が見えてくるらしい。
★ ★ ★
リハビリ中にI先生がいらしたので、挨拶する。
覚えてるかな、私を。
いや、絶対、覚えている。
大騒ぎだったもん、あのときは。
でも、I先生は紳士だから、おすまし顔。
「ああ、U先生が言ってた患者さんね、前に僕が手術して、今度はU先生に膝をやってもらった・・・」
そうそう、そのドジな患者でございます。
「その節はありがとうございました」
本当に助かりました。
でも、あのとき、ストレッチャーに寝たまま、起き上がることはおろか、体を動かすこともできずに死にそうな私に、「そんな怖いものを見るような顔で僕を見ないでよっ」と叫んだのもこの紳士なのだが・・・
いやいや、怖いものを見るような顔で見ているのではなく、痛みで顔が歪んでいるのでございますよ・・・と言おうにも声も出せなかった。
どっちかっていうと、「神様助けて」モードだったんだけどなあ。
★ ★ ★
同じリハビリのアラフィフ女性3人と知り合いになる。
私もアラフィフと言いたいところだが、もう無理なんだね。
アラカンですよ、次は。
一人は私の直前に手術した人、もう一人は9日目、あと一人は先週の月曜日手術だから10日目ということになる。
年齢ネタが多くなるが、この3人も前十字再建手術は40代以前の話と言われて、手術してくれる病院がなかなか見つからなかったそうだ。
病院をはしごして遠回りして時間がかかってしまったらしい。
その間、膝崩れがなければいいのだが、繰り返すようだが、とにかく半月板損傷が怖い。
Mindsガイドラインによると、高齢でも運動を続けている人には前十字再建手術も良い結果が出ているそうで、71歳の例があったし、今後はどんどん高齢化対応していくことになりそうだというコメントがあった。この病院では、何歳まで可能なのか、機会があったらU先生に聞いてみよう。
正直言って、医療の質は地域と病院に左右される。私の母親などは神奈川県在住だが、老人だからと言ってまともに取り合ってくれない病院しかないという。
東京の隣なのに・・・
あまり文句を言うので、東京に連れて来て、老人診療科のある大学病院に連れていって、いろいろ検査をしてもらった。
その結果、「血液検査の針も一発で通るし、説明も丁寧だし、あちこち全部見てくれた」とご満足いただけたようだ。診断は、足に動脈瘤ができかけているために不調が現れたとのことだった。まあ軽微な不調でよかった。
都内にはこういう特定機能病院がいくつもある。
紹介状がないと初診料に上乗せされるが、それくらいの支出で躊躇する程度の不調なら特定機能病院にいく必要もない。
ちなみに私の入院している病院は特定機能病院ではないので、普通の診療報酬しか請求されない。
やはり、医療も人間のすることだから、病院も医師も積極的に選ぶ時代になった。それをここでは先取りしているようだ。
日本では医療に関しては、健康保険が肩代わりしてくれる額が大きいので、みんな平等に医療を受けられるから、情報を集めて積極的に病院を選択するメリットは大きいと思う。
どの病院でも、同じ診療報酬しか請求されない、わけだから。
それだったら、いい病院、腕のいい医師に診てもらった方がいい。
ちなみに、アメリカは請求される額が医師や病院によって全く異なる。まさにお金で医療を買わなくてはならない。オバマケアも無くなるし、今後その傾向はもっと強まるだろう。
できれば、日本では、そうした側面はまねして欲しくない。
もう、これ以上アメリカ化するのは御免被りたい。
術後2日目
本格的なリハビリが始まった。
まず朝は採血から。
10時にはリハビリ室へ。CPMで伸展7度屈曲80度クリア。これは術後一週間は90度以上になってはいけないそうだ。
余裕はあったけど、様子を見る。
膝の曲げ伸ばし、5分×3回。セット間にアイシング。
術後一日しか経っていないとは思えない、とのお言葉。みんなにいってるんじゃないかなと思ったけど、そうでもないようだ。
quadsettingも50回。アイシング。
その場足踏みとスクワット、室内歩行3周。
ときどき、動画を撮っている。他の社会人の動画は撮ってなかったから、やはり高齢者ということで抜擢されたみたい。
喜ぶべきか、悲しむべきか。
ここは素直に悲しむべきなのかも。
やっぱり、精神年齢と実年齢が一致してないのは困るよね。
さて、リハビリ2時間でランチ。
お腹が空いて、相方が持って来てくれた甘いお菓子を食べてしまう。このところ、中性脂肪が高いので、甘いものは厳禁なのだが・・・
まあ、いいや。
午後もリハビリ、頑張るし。
午後はサクッと洗濯を済ませてから、CPMに30分。屈曲は90度まであげる。
K先生、かなり念入りにビデオ撮影している。
その後、午前と同じメニューをこなし、プラスして歩行時間を増やし、16時終了。
松葉杖も片方でOKになった。
同じ日に手術したと思しき、私より若いおばさんがまだ両松葉杖のままだったから、同じ年代の人たちに比較すると、やっぱ優秀でしょ、わたし。
と書いたら、K先生が松葉杖を持って来た。
「明日の朝はあそこまで動けないんじゃないかと思うから」
それもまあそうかも。ご親切にどうも。でも、高齢者代表として、精進します。
(横綱風に言ってみた)
リハビリ室では、他にも若者がアジリティーをあげる練習をしている。
あれくらい、時期が来れば、わたしもできるもんねー
3ヶ月後にはガンガンいきますからねー
今日の最後はレントゲン撮影。
そしてシャワー解禁。ご機嫌な夜。
手術翌日
手術前の点滴の針刺しが一回で決まらず、3人看護師さんが代わる代わるトライ。これが失敗すると痛い。青あざになる。呼ばれるギリギリになってようやく針が入り、急いで手術室へ。
・・・・・
手術は12時過ぎには終わったらしく、12時半には相方が呼ばれたという。
麻酔が覚める頃に、ああ、もう起きるのか、まだ寝ていたい、と思った。
病室に帰るストレッチャーの音も夢うつつ。
電気毛布で包んでくれているので、寒さもなかった。
しかし、ここからが、一番の山場。術後24時間は、どんな手術でも辛い。
その24時間が始まった。
部屋に帰ってから、夜寝る前、そして夜中の2時、痛み止めの点滴を三回使い、もう時間を空けなければこれ以上は点滴を使えないので、朝は座薬を入れてもらう。
膝の痛みよりは寝返りを打てないので、腰が痛くなるのだ。そっちの方が辛い。
夕飯はゼリーのようなものとみかんを食べた。
朝ごはんは8割ほど食べたが完食ならず。
朝食後、Y先生がやってきて、ドレインを引き抜く。
一瞬のことだが、これが痛い!!
だが、ドレインがなくなるとぐっと楽になった。
処置の間、自主的に右足をずっとあげていたら、Y先生的にはお気に召した様子。
痩せても枯れても(痩せてもいないし枯れてもいないが)、クライマーの意地ですな。
ここで意地を見せて、どうする・・・
そして尿道の管も抜く。これは、松葉杖でトイレにいけるようになったから。
万が一のための点滴の針だけは残っているが、あとは自由になった。
さて、トイレへの松葉杖歩行ができると、リハビリのK先生がやってきて、「歩いているところを撮らせてください」という。かなりいい動きだと、自分でも思う。
撮影会、開始。
動画アップしてくださいよ〜
もう少し、痛そうに歩いてもいいくらいだ、と言われる。
痛くないわけじゃないけど、そんなに痛くはない。
撮影会、無事、終了。
お昼は完食。
午後はCPMという機械で30分間足の曲げ伸ばし。伸展15度屈曲60度で、屈曲は余裕。伸展の方が辛い。
足には装具がついていて、歩くときはそれをつける。
ベッドでは膝を冷やす機械をつけている。
夕方、相方が来てくれて、つかの間の歓談。
魔の24時間が終わり、今日はゆっくり眠れそう。
手術日
朝6時起床。
水は7時まで。
OS-1を2本1000ml飲んだ。
8時半過ぎから、麻酔の先生がいらして、全身麻酔はどういうものか、どういう危険があるか、どういう器具を使うか、私に固有の問題(腎機能)についての説明を受ける。
とてもよくわかりました。
もうお任せです。
Y先生が右ひざに矢印を書いて患部を確認。
薬剤師さんからも説明を受ける。
PTのK先生が膝の状態、筋力などをチェック。「社会人の人にはお願いしている」とのことで、リハビリの際の動画を撮っていいか、聞かれる。ホームページに載せてくれるらしい。もちろん、顔は出ない。
私はピンときた。
社会人全員対象ですか?
ホントですか?
K先生の笑顔からお察しして、「年齢が50代半ばなのに前十字再建手術を受けて、こんなによくなります、という見本になるといいですよねー」というと、にこやかに、そうそう、と頷かれた。「このくらいの年代だと、もういいや、って諦めてしまう方も多いらしいんですよ。この病院の先生方はそういう人に諦めて欲しくないと考えているので」とのこと。
ほらね。
そういう見本にはなる。
私自身、気持ちが若い、ということもある。
でも、私の周囲はもっと気持ちが若い人たちばかりだ。
しかし、気持ちばかりでなく、いろいろ調べて、「まだいける」と思えたのだ。
幸い私は毎年骨密度も調べていて、年齢平均では120%、20歳平均に比較しても110%の骨密度が維持できている。
まだ、いける、でしょう。
リハビリ、受けて立ちますから!
動画もアップしてもらえるよう、がんばります。
手術着に着替えて、もうすぐ点滴も始まる。
いってきま〜す。
入院ーー受傷19日目
朝9時少し前に家を出る。
10時5分過ぎに病院到着。
入院した。
新しい病院なので、設備も綺麗だし、すべてが最新式。
Wifiも通じるし、テレビも無料。お洗濯も無料でできる。洗剤は買うんだけど、高くない。自販機の飲み物も割安。
食事は出るし、手術がなくて痛くなければ(そんなことあるわけない)天国です。
看護師さんに説明を受け、手術内容の確認。
「膝の手術の人は、術後のリハビリをがっつりやります。みんな、いつも病室にいないわー」と言われる。
リハビリ、がっつり。
わかりました。
受けて立ちましょう!!
シャワーは15時40分からの枠を取ってもらっていた。明日から数日はシャワーも浴びられないので、じっくり洗います・・・
シャワーのとき、イソジンで手術する部位の消毒をするように申し渡される。
これって、意味あるのかなー?
でも、まあ言われた通り、イソジン塗って5分放置。で、洗い流す。
この一週間のリハビリで、正座もクリアした。正座している方が楽なくらい。
「怪我してるようには見えない」と言われ続けた一週間が終わる。
今日は夕食まで通常の食事で、21時以降は水しか飲めない。
カロリー計算された病院の食事は「適正な量」を思い出させてくれる。
やっぱり、いつも食べ過ぎだったんだなあ・・・と反省させられる内容。
入院する前、つまり昨日の夜、私は冷蔵庫にある野菜と食材をできる限り使って料理をし、ストックしてきた。
冷凍してある自家製唐揚げもあるし、これで相方は3日くらいは大丈夫なのではないかと思う。
私がいないと、相方は自分から進んでは嫌いなお魚を食べないと思うので、お魚料理のストックを2品。
なるべく食べやすい味付けにしておいた。
まるで幼稚園児のお弁当作りみたい。
食事はすべての基本なので、私がいない間、偏ったものを食べないようにしていてほしいです。
さて、私の食事は明日の朝はなし。
今晩21時から明日の朝7時まで、水しか飲んではいけない。水も経口補水液を推奨される。
手術は11時からの予定なので、お昼もなし。
点滴が始まるから空腹とかはないんだけど・・・
やっぱ、緊張する・・・
術前リハビリーー受傷11日目
まず、情報から。
私が得ている手術やリハビリの情報は、経験者のブログなどもあるけれど、一番頼りにしたのは、Mindsガイドラインセンターのホームページ。
ここでは医療に関する客観的な統計資料に基づいて、診療ガイドラインと情報を提供してくれる。
取捨選択は受け取る側の任意だけど、ブログのような主観ではないので、かなり頼りになる。
ここで、手術までの期間、術式、術後のリハビリ、その他の疑問点をチェックした。
このガイドラインを読み込んでいたので、手術の説明に関しては、なにも疑問がなかった。
ちなみに術式のBTBとSTGの違いによる術後の経過も説明している。オリンピック選手ならいざしらず、私程度のスポーツ復帰ならば、術式の違いにそれほど神経質になる必要もない、というのが、私の結論。
ちなみにSTGの方が術後の筋力低下があるが、前膝の痛みが少ないなどのメリットもあるらしい。
筋力低下こそ、リハビリでなんとかすべき問題なので、自己管理が大切。
さて、怪我をしてから11日目、診察から5日目、リハビリを始めて6日目の今日、内側じんたいも断裂しているので、内側の膝に痛みがあったが、リハビリメニューをこなしているうちにそれも消えた。
多少痛いが正座もできる。
たまに痛みがわずかにある程度で、膝の安定度も増した。
MRIを撮ったり、診察を受けたりしていなかったら、「捻挫かな〜」くらいで済んでしまいそうなくらい、回復した。
ACL断裂で保存療法を選択する人も多く、受傷から手術まで時間をおく人が多いのも宜なるかな。
ただガイドラインを読み込むとわかるのだが、時間をおいてしまうと、やはり怖いのは半月板損傷だ。
さてリハビリだが、メニューはこんな感じ。正座ができるようにしなさいと言われたので、目標はクリアした。
だが、視認すると、やはり右足の筋力が落ちているのがわかる。
あと一週間。もう少し筋力を回復しておきたい。
大学病院診察日
月に一度のK大学病院診察日。
23日に予定されている全身麻酔手術のため、いつもの注射はなし。血栓ができやすくなるので、一回パス。
担当のB先生に腎機能についても尋ねると、「ぜんぜん問題ないですよ」とかる〜く言われたので、一安心。
帰宅してから、I病院の看護師さんに電話して、B先生からの話を伝え、注射は一回パスになったこと、腎機能は問題ないことを伝える。だが、看護師さんによると、麻酔科でまだ検討しているので、また連絡するかもしれない、とのこと。
これだけ対策してくれるのは本当にありがたい。念には念を入れて、という感じがヒシヒシと伝わってくる。
手術前以外、あまりお会いすることのない麻酔科の先生ですが、心からありがとうございます、と伝えたい。
それ以外は装具の代金を振り込んで、地味なリハビリメニューをこなしている。
私が早く手術してもらいたい、と考えたのは、もちろん復帰が早くなるということもあるけれど、第一に「半月板損傷が怖い」からだ。
前十字再建だけなのと、半月板も触るのとでは、予後が違う。
そして、二番目の理由として、「筋力が衰えてしまうと術後のリハビリに時間がかかる」から。
これはもう体験済みなのだ。
前回、2010年に右足首を骨折して、その後椎間板も痛めた結果、当時の私の右足は、左足に比較して半分以下の太さになってしまっていた。ほとんどすべての筋力が落ちた。
今は60%だが、あの時測っていたら、おそらく10%もなかったんじゃないかな。
その後、リハビリに1年以上を費やした。
今はあの時よりも6才半、年を取っているし、ホルモンの影響もあるから、筋力を回復するには同じくらい時間をかけてしっかり丁寧にやらないと、と覚悟している。
整形外科手術は、執刀医の技術がもちろん大きい。だが、それと同じくらい、リハビリがものをいう。
これは一般的に言われていることでもあるけれど、私自身の実体験からの切実な感想。
怪我をして落ち込む人が多いのも頷ける。
今回だって、もし初めての整形外科手術だったら、私も落ち込んでいたかもしれない。
「年も年だし、本当に運動できるようになるのか」とか「時間がかかって先が見えない」とか、否定的に考えてしまいがちだ。
椎間板手術のときには、私も散々、否定的な考えに取り憑かれた。「もうアルパインはできない」と思った。
それが、どうですか、一昨年はヨセミテ・フェアビュードーム、昨年はトレチーメですからね。
椎間板の術後1年間、リハビリを淡々とこなし、徐々にクライミングにも復帰して、スキーにも復帰して、いろいろな活動に復帰できた。
実は右足の痛みは一昨年くらいまで残っていた。
特に朝起きるときに痛みを感じたものだ。
ところが6年経った昨年あたりからほとんど右足の痛みを感じなくなっていた。
若い人には6年なんて考えられない時間の長さかもしれない。6年も経ったら、中学高校とクラブ活動はできない、と思うのかもしれない。でも6年間、何もできなかったわけではなく、登山とクライミングは続けられた。
私の椎間板は劇症だったので、これだけ後遺症が残ったのだが、それでも回復していく、ということを身をもって体験している。
だから、今回だって大丈夫。
術後を見据えての術前リハビリ、しっかりこなそう!